先日、難聴児の教育に関する講演会を聴講させていただきました。
改めてはるぴーが地域の小学校に通うほうが良いのかろう学校(聴覚支援学校)に通うほうが良いのかを考える機会となりました。
これから色々と状況や考え方は変わると思いますが、現時点での私の考えをブログにまとめたいと思います。
地域の小学校かろう学校のどちらに行かすべきか
多くの難聴児の親は、子どもを地域の小学校に行かすべきかろう学校(聴覚支援学校)に行かすべきかを悩むのではないでしょうか。
私はすごく迷います。
子どもが通いたいと思い、そこでより充実感をもって学べる学校に行かせることができればどちらに行っても正直、正解だと思います。
今回、ろう学校で教師を以前されており普通校出身の難聴の学生のこともよくご存知の先生のお話をきかせていただき、改めてはるぴーがどちらの学校に行くことが彼にとってより良いかということを考えさせられました。
色んな意見があり、子ども一人ひとりどの学校に行くべきかは違うと思いますが、結論からいうと、息子は地域の小学校に行ったほうが良いのではないかと思いました。
なぜそのほうが良いと考えたかというと、(かなりろう学校寄りの意見の)講師の方が普通学級の問題点について話された際、私自身がそれらの問題点についての対策であったり反論であったりというものが心の中に浮かんできたからです。
とはいえ、講演会を聴講して、ろう学校の良さや魅力、強みなどをさらに知ることができ、非常に勉強になったとともにますますろう学校のことが好きになりました。
先生のご指摘された点について私なりの考えも含め、特に印象に残ったものを2つ紹介したいと思います。
“普通”の学校に行ってほしいと思う親が多いけれども、難聴児にとっての“普通”の学校ってどこ?
地域の学校に行って勉強することが“普通”だと思っているのは親だけで、配慮が乏しくきこえで困ることの多いところよりもきこえに配慮があり情報保障のあるろう学校に通うことが子供にとっては“普通”な選択なのではないか?
このように問題提起され、先生同様、私も難聴児にとってはろう学校で学ぶことが最も“普通”な選択だなと思いました。
地域の小学校に通うことが“普通”だと親が思いたいから親のエゴで地域の小学校に入学させた。
もちろんそういう親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、多くの親御さんは長い期間をかけて子どもにとってより良い選択は何か、何度も何度も考えて、色んな先輩パパママの話をきいたり、療育先の先生の話をきいたり、医学論文を読んだり自分なりに悩み抜いて地域の小学校に通わす結論を出したんだと思います。
つまり地域の小学校に行かせた親御さんには、何かしらの根拠があって、地域の小学校に行かせた方が多いのではないかと思います。
決してエゴではありません。
根拠は人それぞれ違うと思いますが、地域の小学校に通う聴覚障害を持つ生徒のほうがろう学校に通う生徒と比べ言語理解や学力等が高い傾向にあるというのはひとつの根拠になり得ると思います。
人工内耳や補聴器を使って補聴をしても、健聴者と比べると聴覚から得られる情報は少なくなります。
それでも情報保障のされたろう学校の生徒よりも地域の小学校に通った生徒の学力のほうが高い傾向にあります。
ではなぜ私がろう学校に通うことが“普通”の選択だと思ったかというと、ろう学校がきこえに配慮された学校で、同じ聴覚障害の同じ境遇の生徒が通い、授業で先生が言ったことが普通にすべてわかり、友だちにも難聴のことでからかわれずに済み、自分らしく言いたいことを言える環境があるからです。
地域の小学校はどうでしょうか?
必ずしもきこえに配慮されるわけではなく、耳が悪いことや補聴器や人工内耳をつけていることをバカにしてくる子がいるかもしれません。
授業中に先生の言ったことが一人だけわからなかったり、わかったふりをしているところに先生に急にあてられて大恥をかいたり、グループディスカッションをしてもほとんどききとれなかったり、友達との口約束を(きこえなくて)破ってしまい怒らせたりと色々あると思います。
普通に耳がきこえていたら起きないことが難聴の子には起きてしまいます。
耳がきこえる親が想像してもしきれないようなことが地域の小学校ではたくさん起こるでしょう。
難聴児が地域の小学校に行くことは“普通”のことではないと私は思います。
少なくとも耳が普通にきこえた状態で学んできた我々親が想像している学校生活とは違う学校生活になると思います。
ろう学校に行くよりも地域の学校ではきっとより苦労をするでしょう。
たくさん傷つくかもしれません。
それでも息子には身につけてほしいチカラがあるので地域の学校に行ってほしいと思います。
主に3つのチカラを身につけてほしいと考えています。
①相手を思いやるチカラ
ろう学校にはきこえに配慮してくださる素敵な先生方がたくさんいます。
配慮してもらえるのがあたりまえだと錯覚してしまうかもしれません。
私は耳がきこえない、きこえにくいからといって無条件で配慮してもらえることがあたりまえではないと思います。
はるぴーへ
耳がきこえないからではなく、人として困ったことがあったときに助けたいと思われる人間になってください。
周りをよく見て自分が助けてもらった分の2倍、人を助け、お友だちがどうやったら喜んでくれるか、笑顔になってくれるかを考えられる人間になってください。
自分が周りをよく見て困っている人を自然に助けられるようになると、はるぴーの周りにはきっと真の友だちが常にいてくれるようになると思います。
②"できる"を見つけるチカラ
地域の小学校に通っていると、耳がきこえない故にできないことにたくさん直面すると思います。
困ると思います。
自信を失うかもしれません。
なぜ自分だけ耳がきこえないんだと親を恨むかもしれません。
でもお父さんは、はるぴーがきこえにくい中でどうやったらできるかを考えることのできる人になってほしいと思います。
難聴であろうと自分なりの解決方法を見つけて、自分らしく人生を有意義に過ごしている人はいます。
お父さんもいっしょにどうやったらできるかを考えるので、学校で困ったことをできるだけお父さんにも教えてくれたら嬉しいです。
③伝えるチカラ
ろう学校に通うと、きこえに対する配慮がかなりあるので、中にはきこえにくくて困ったことはないと思うような子もいるそうです。
逆に言うと、自分の障害のことやしてほしい支援を伝える練習をする機会は地域の小学校と比べろう学校では少なくなるということかと思います。
地域の学校で充実した学校生活を送るためには、伝えるチカラは必須かと思います。
また、学校を卒業したあとは社会人として働かなければなりません。
働いてお金をもらうようになる以上は責任が生じるわけで、何ができるか、できない部分に関してはどうやったらその業務をより付加価値の高い業務で代替できるかをしっかりと伝えなければならないと思います。
耳がきこえないからこの人はできないことが多いし仕事を任せないよねと思われたらもったいないです。
自分の魅力やできることを相手にうまく伝えられるチカラを身につけてほしいです。
もちろん、はるぴーが小学校就学前になり、自分の意見が言えるようになってきたら、その意見も大いに参考にしようと思っています。
2つめの指摘事項は、
地域の学校で指文字を先生が授業の一環として紹介するのは難聴児のためになると思うか?
です。
私はこの質問をされたときに、何が問題かが正直わかりませんでした。
地域の小学生のみんなが指文字に興味を持つことで、難聴への理解につながるんじゃないかとプラスの面しか想像できませんでした。
親としては自分の子のためにクラスのお友だちや先生が指文字を勉強して使ってくれるようになったと思ったらうれしい気持ちになります。
講師の方いわく、地域の小学生で指文字を教えると、「し」「ね」と指文字で難聴児に向かっていうようになるとのことでした。
ハッとさせられました。
ほとんどの先生は速い指文字を読み取ることができないでしょうし、おもしろがって指文字で悪口をいう子が出てくる可能性を十分に想像できます。
自分のためにみんなが指文字を覚えてくれたという嬉しさから一転、悪口を言われショックを受ける姿を想像すると悲しくなります。
はるぴーには本当に信用できる友だちにしか指文字は教えてはいけない、悪用されて傷つけられるおそれがあるからと伝えようと思いました。
地域の小学校に通わせた場合は、様々なトラブルが生じる可能性があるということは常に頭に入れておくべきと思います。
子どもは親に心配をかけまいと本当は学校で困ったことがあっても親には「大丈夫」とか「きこえてるよ」とかと言うかもしれません。
ここまで長くなりましたが、はるぴーが3つのチカラを身につけることができるとどんな場所であっても充実した人生をすごせるのではないかと思います。
お父さんは、はるぴーが長い人生を充実感をもって幸せに過ごしてくれることを願っています。
いい人生をつかみ取ってね、はるぴー!