皆さんは、病院で痛み止めをもらった際に、ムコスタ(レバミピド)を一緒に処方されたことはありませんか?
ムコスタは、痛み止めの短所を補うことができる最高の組み合わせです。
痛み止めの短所とは、継続して服用すると胃が荒れやすくなることですが、ムコスタには、痛み止めにより胃が荒れるのを防ぐ効果があります。
この記事では、ムコスタがなぜ痛み止めと一緒に処方されるのかその理由について薬剤師ゆうが解説していきます。
痛み止めと一緒に処方される理由
一緒に処方される理由は、ズバリ、痛み止めによって胃が荒れることを防ぐために最も適した胃薬だからです!
ムコスタの主な作用は、以下の2つです。
- 胃粘膜による胃の保護を増強する作用
- 活性酸素の抑制作用
胃粘膜は、強力な胃酸から胃を守ってくれるはたらきをします。
胃粘膜が減少してしまうと、胃酸から胃を守ることができなくなり、胃の不快感や胃痛・胸やけなどの原因となってしまいます。
ひどい場合、胃潰瘍になってしまいます。
胃潰瘍とは、胃酸やアルコールなどにより胃に穴が開いてしまい胃の内側にくぼみができてしまう病気です。胃や背中の痛み、食欲不振、吐き気、下血、吐血などを引き起こすことがあります。
ムコスタは、胃粘膜を増やしてくれるので、これらの症状を防いでくれます。
また、ムコスタには、活性酸素を抑制する作用があります。
活性酸素とは、呼吸によって身体に取り込まれた酸素のうちの一部が、通常よりも活性化された状態になったもので、身体の様々な物質と反応します。取り込んだ酸素の約2%が活性酸素になるといわれており、過剰になると細胞を攻撃して傷つけてしまいます。
胃の中で活性酸素が増えてしまうと、胃にダメージを与える原因となってしまいます。
ムコスタは胃での活性酸素の発生を抑えることで、胃を守ります。
胃を守るために必要な生体物質
胃を守るために必要な生体物質はプロスタグランジンです。
プロスタグランジンは、胃の粘膜による保護を増強する作用、胃の血流を良くして傷の治りを早める作用を持ちます。
胃では、胃を守ってくれるはたらきをしますが、身体のそれ以外の場所では、別のはたらきもします。
それが、痛みを感じさせやすくする作用と熱を出す作用です。
プロスタグランジンは、風邪をひいたり怪我をしたりなど、体に炎症が起きた時に大量に体で作られる性質を持ちます。
そのため、プロスタグランジンは体で大量に作られると痛みや熱の原因になります。
ムコスタの作用
ムコスタには、胃の中のプロスタグランジンの量を増やすはたらきがあります。
プロスタグランジンには、胃粘膜を増やして胃を守る作用や胃の血流量を増やす作用があります。
そのため、ムコスタは、胃の中のプロスタグランジンの量を増やすことで胃を守ります。
また、ムコスタには活性酸素を抑制するはたらきもあります。
活性酸素は、増えすぎると細胞にダメージを与えてしまいます。
ムコスタは、胃の中の活性酸素の働きを抑制して、活性酸素による胃へのダメージを防ぎます。
痛み止めを飲むと胃が荒れやすくなる理由
ロキソニンやイブなどの痛み止めは、プロスタグランジンが身体で作られる量を減らすことで痛みや熱を鎮めます。
プロスタグランジンは、痛みを感じさせやすくする作用や熱を出す作用をもつので、そのはたらきを抑えることで痛み止めは効果を発揮します。
ただし、痛み止めはプロスタグランジンによる胃を守る作用自体も止めてしまいます。
そのため、痛み止めを継続して服用すると、胃を荒らしてしまう原因となってしまいます。
ムコスタが痛み止めと一緒に処方される理由
痛み止めは、身体中で作られるプロスタグランジンの量を抑えます。
ムコスタは、胃の中のプロスタグランジンの量だけを増加させます。
そのため、同時に服用することで熱や痛みを抑えられて胃は荒れにくい状態を作ることができます。
ちなみに、ムコスタの注意点として、今出ている胃の不快感や胃痛に対してはほとんど効果がないということが挙げられます。
ムコスタの作用は、主に、胃が悪くならないようにする予防効果に特化しているものであり、今出ている胃の不快感や胃痛に対してはほとんど効果はありません。