難聴児子育て

人工内耳手術の日程が決まりました

今回は、前回総合病院に受診した際にお願いしていた遺伝学的検査の結果をききに行きました。

難聴の原因がわかり、それに伴い今後の治療方針も明確になりました。

また、人工内耳の手術の日程が決まり、そのための入院の手続きもその日に済ませました。

聴覚検査

先生による診察の前に、はるぴーは3種類の聴覚検査を受けました。

今回受けた検査は、BOACORABRの3つです。

これら3つの聴覚検査については、すべてこれまでに受けたことのある検査です。

まず一番最初に受けたのは、BOAです。

これは、はるぴーの死角から太鼓を叩き、音のする方を向くかを見ることで、音に対する反応があるかどうかをみる検査です。

結果は(±)で、音に対する反応が明確ではないものの、時間を少しおいてからみる素振りはしていました。

次に、CORを受けました。

音と同時に動くおもちゃをはるぴーにみせて、音がなったらおもちゃが動くという条件付けをしたうえで、様々な大きさや高さの音を鳴らして検査をする聴覚検査です。

結果は、補聴器装用で、250Hzが75dB、500〜2000Hzが85dB、4000Hzがスケールアウトでした。

最後にABRを受けました。

これは、はるぴーが眠っているときにヘッドホンから出る音をきかせて、その音をきいたときの脳波の変化を観察することで聴力レベルを判断する検査です。

結果は、左右とも105dBスケールアウトでした。

聴覚検査の結果自体は、今まで受けて出た結果と大きく乖離はありませんでした。

はるぴーが高度から重度の難聴であるということがこれらの検査結果より、再確認されました。

遺伝学的検査の結果

前回総合病院に受診した際に、遺伝学的検査をお願いしており、その結果について先生から説明がありました。

遺伝学的検査の報告書によると、はるぴーにはGJB2遺伝子に変異があり、それが難聴の原因であるということがわかりました。

GJB2遺伝子変異による難聴は、日本人の遺伝子変異による先天性難聴の原因のなかで最も多いタイプのものだそうです。

この遺伝子変異による難聴の場合、非進行性のため、聴力がこれ以上悪くなったり、良くなったりすることがほとんどないようです。

遺伝子変異の種類によっては、耳だけでなく、目や平衡感覚などにも影響をきたすものがありますが、GJB2遺伝子変異の場合、基本的には症状は耳だけに限局するようです。

はるぴーの場合、聴力レベルが高度から重度の難聴であり、それ以上の聴力の回復が見込めないため、この検査の結果から補聴器による音声言語の獲得は困難を極めることがわかりました。

先生からは早めに人工内耳手術を受けて、早期の段階からはるぴーに音を届けてあげることを勧められました。

そのため、先生にその場で人工内耳手術の予約をお願いし、9月中旬に人工内耳手術を受ける予定になりました。

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現在、はるぴーは生後6ヶ月で、手術を受ける予定の9月中旬には、生後8ヶ月になります。

生後8ヶ月で、人工内耳手術を予定したのには、下記の理由があります。

  • 人工内耳手術を受けた月齢が若ければ若いほど、その後の人工内耳によるききとりの成績に良い傾向がみられる
  • GJB2遺伝子変異による難聴の場合、聴力の回復は期待できない
  • GJB2遺伝子変異をもつ難聴児は、人工内耳によるききとりの成績が良いことが知られている
  • CTによる画像診断で、はるぴーには内耳奇形や聴神経の狭窄がみられなかった
  • 2022年に人工内耳の手術基準が見直され、8kg以上であれば1歳を待たずして手術を受けられるようになった

海外の報告によると、1歳未満で人工内耳手術を受けた難聴児のおよそ8割が、小学校就学時までには、同年代の健聴の子どもと同等の語彙力を身につけるそうです。

入院の準備と人工内耳メーカーの説明

人工内耳手術の予定が1ヶ月半後に決まったため、早速その日に入院の準備をしました。

まずは、心電図検査レントゲン検査血液検査を受けました。

入院のためには、それら3つの検査を受け、問題がないことを確認する必要があるようです。

検査結果に問題がなければ、再受診の必要はなく、問題があれば、病院から電話がかかってくるそうです。

MRIの検査も受ける必要がありますが、こちらは予約が必要だったため、来月に受ける予定です。

何も検査結果に問題がなく、スムーズに人工内耳手術が受けられることを願っています。

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それらの検査の後は、看護師さんより入院の具体的なスケジュールをききました。

手術の前日から入院し、術後6日目に問題がなければ退院する予定です。

入院の前日にPCR検査を受け、コロナウイルス陰性であることを証明する必要があります。

退院日に人工内耳の音入れを行い、なんとその日は実際に人工内耳をつけた状態で、いっしょにお家に帰ることができるようです。

その後、言語聴覚士の先生より、人工内耳メーカーについての説明がありました。

日本で使われている人工内耳のほとんどが、コクレア社メドエル社のものだそうです。

それら2社の製品の詳しい比較については、別でまとめていますので、こちらのブログ「人工内耳メーカーの比較(コクレア社とメドエル社)」をご覧ください。

先生より、コクレア社の実際の製品のデモ機を見せてもらいました。

実際に手にとると、思ったよりも軽く、たとえ小児であっても、それほど重さを気にする必要なく長時間装用できるであろう想像ができました。

人工内耳は片側か両側装用どちらがよいのか

人工内耳手術を受ける際には、両側に人工内耳手術を受けるか、片側にだけ人工内耳手術を受けるかを先生と相談することになると思います。

また、両側に人工内耳手術を受ける場合、片側ずつ時間を開けて受けるか、同時に受けるかを先生と相談することになると思います。

まず、片側にだけ人工内耳をつける場合ですが、その場合、もう片側の耳は補聴器を活用することになります。

片側に人工内耳をつけることでそれが刺激となり、もう片側の聴力が回復する場合があるようです。

また、人工内耳からきこえる音と、補聴器からきこえる音を同時にきくことで、より幅広く音を拾える場合があるようです。

なお、術後に残り片側の聴力が改善せず、補聴器では十分に耳へ音を届けてあげられない場合は、両側に人工内耳手術をした例のほうが、言語獲得には有利です。

次に、両側に人工内耳手術をする場合ですが、片側ずつ受ける場合は、人工内耳をつけていない方の耳の聴力に改善がみられるか判断する時間ができます。

また、両側同時に手術をする場合と比べて1回あたりの手術時間が短い、出血や感染リスクが少ないなどのメリットもあります。

ただ、2回手術を受ける必要があるので、トータルの入院期間は両側同時手術と比べ長くなり、全身麻酔によるリスクも上がります。

両方の耳に人工内耳手術をすることで、音の方向性がわかるようになったり、片側のみと比べ、騒音下での聞き取りが向上したりなどの効果がみられることが知られています。

最後は、両側同時に人工内耳手術を受ける場合です。

両側同時に手術を受けるため、手術時間は片側と比べ長くなりますが、一度の入院で済み、全身麻酔のリスクも軽減されます。

音入れ後、両側の人工内耳から同時に電気刺激が両耳聴に関わる神経を刺激し、その神経回路の発達を促すため、聴神経の発達が最も生理的で自然に近いです。

1つ目の人工内耳手術から2つ目の人工内耳手術の間が1年以上間隔が開いた例と両側同時手術した例では、少なくとも術後2年間は、両耳同時手術をした例の方が言語発達により有利に作用することがわかっています。

遺伝学的検査で、聴力改善の見込みがないことがわかっている場合は、両側同時に人工内耳手術をすることが、今後の言語獲得・発達のためには最も有利にはたらきます。

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ちなみにはるぴーは、両側同時に人工内耳手術を受ける予定です。

また、選択する人工内耳プロセッサーは、コクレア社のN7にする予定です。

はるぴーには、できるだけはやく音を届けてあげたいと思います。

コロナウイルスに感染したり、風邪をひき中耳炎を起こしてしまったりして、手術が延期になってしまう子が多いと先生から言われました。

少なくとも術後までは、感染症に人一倍気をつける必要がありそうです。

今回の病院受診で、難聴の原因がわかり、大きく前進できたように思います。

はるぴーの人工内耳手術の成功を心から願っています。

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ゆう

薬に含まれる有効成分オタクで、どのようなメカニズムで薬が効果を示すか勉強することが好きです。 2016年薬学部卒業後、調剤併設型ドラッグストアで薬剤師として勤務しています。 薬を使う必要性や注意事項など、わかりやく紹介していきます。

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