難聴児子育て

今後の進路について

今回、聴覚支援学校の保護者研修会に参加し、今後のはるぴーの進路について考えました。

聴覚支援学校を卒業した先輩方がどのような進路に歩んだのかについて、高等部の先生からきくことができ、非常に参考になりました。

小さいときから将来について考えるきっかけを作っていただき感謝しています。

今後の進路について

1才から進路について考えるというのは少し早い気もしましたが、特に難聴児の場合、早い段階から今後の進路について考える重要性があると今回の研修会に参加して感じました。

3歳には一般の幼稚園・保育園に行くのか、聴覚支援学校にこのまま通うのかを考える必要があります。

高等部を卒業するまで18年間、聴覚支援学校でお世話になるという選択肢もありますし、幼稚園、小学校、中学校、高校のどこかの段階で地域の学校にインテグレーションする選択肢もあります。

どのような選択肢を取るのもメリット・デメリットがもちろんありますが、聴覚支援学校を卒業した生徒さんたちがどのような進路を歩まれたかを知ることが、今後のはるぴーの進路決定の参考になることは言うまでもありません。

結論から言うと、はるぴーの通っている聴覚支援学校では、進学:就職が約3:7でした。

進学について言うと、大学によって、情報支援の差が激しいので、よく調べてから自分の学びたい大学を決め、目指すとよいとのことでした。

卒業生で小学校の先生になられた方もいるそうです。

就職については、障がい者枠を利用して就職を目指す方が多いようです。

障がい者枠は、手帳を所持していないと利用できないのでその点は注意が必要です。

一般枠での採用の場合、各高校に企業が出せる求人票の数が決まっており、なおかつ、各高校で選抜された人に対し企業側から面接などの採用試験が行われ、試験に合格した人のみが就職できるという仕組みになっているようです。

企業側としても出せる求人票の数が決まっている以上、企業の求めている人材がいそうな高校に求人を出したがる傾向にあるそうです。

聴覚支援学校にくる一般枠での求人票が少ないうえに、いざ採用試験に挑んでも合格につながらない場合も多いというなかなか厳しい現実もあるようです。

障がい者枠の場合、聴覚支援学校の高等部に在籍しながら、複数の企業で体験就労をすることができ、その中で本人が企業に対し、ここで働きたいと希望を出すという流れになるそうです。

その後、希望が受理された場合、再度企業側で2週間程度の見極め実習が行われます。

その結果、企業側の採用の意思が決まれば、対象の生徒に対し指名求人が出され、晴れてその企業で働けるようになります。

企業側としても、雇う人間がどんな人材かをある程度把握したうえで求人を出せるといったメリットがあります。

数十年前は聴覚支援学校の就職先としては製造業がほとんどを占めていたようですが、最近は製造業だけでなく、調理、事務、介護、販売など職種が多様化しているとのことでした。

多様化の理由は色々とありますが、雇う企業側の視点からみると、法定雇用率を遵守するために必要数の障がい者を雇わなければならないといった事情が見えかくれしています。

2024年の法定雇用率は2.5%と決められており、2026年には2.7%へ引き上げられる予定です。

聴覚障がい者側の環境の変化として大きいのは、補聴器や人工内耳の性能が昔と比べ格段に良くなり、それに伴い、聞きとりの向上と発音もより明瞭になってきているとのことでした。

聴覚支援学校では、口話 +(日本語対応)手話、家では口話のみといった生徒も多いようです。

先生は手話の使用頻度が減っていることを少し残念そうにお話されていました。

しかし、手話併用が必ずしも学業において優位性があるとは、私は今の段階では考えていません。

聴覚のみで授業を受ける難聴児と手話併用の授業を受ける難聴児で学力に差がでたという日本の論文があります。

聴覚のみで授業を受けた子のほうが学力が高い傾向にあるとの結果でした。

参考論文:療育法・教育法別により聴覚障害児の言語発達にどのようなちがいがもたらされるのか?

また、人工内耳術後から手話が使用されなかった子どもたちと長期に手話が使用された子どもたちで比較した米国の論文もあります。

この論文によると、長期に手話が使用された子どもたちは、手話が使用されなかった子どもたちと比べると、言語力や書く力に遅れがみられたそうです。

手話が使用されなかった子どもたちのうち70%は健聴者の年齢相当の言語力に達したのに対し、手話が使用された子どもたちのうち年齢相当の言語力に達したのは39%にとどまりました。

参考文献:Early Sign Language Exposure and Cochlear Implantation Benefits

これらの論文を読むと、しっかりと聴覚活用をしながらこどもと過ごすことが今後の言語力や学力向上の為には必要だと考えさせられます。

親としていちばん大切なことは、こどもが自分の希望する進路に進み、やりがいを持って勉強したり働いたりできる場所を見つけるサポートをすることだと私は思います。

どんな進路をはるぴーが希望するかはわかりませんが、自らのことばで要求を伝えられる、つまり自己表現力を高めるためにも、本人及び家族が言語力を磨く努力をしていくことが必要だと思います。

自己表現力が磨かれることで、自分の障害や他者との違いも客観的にみれるようになると思いますし、自分の進路を自分の意思で決めるといった主体的な選択ができるようになるのだろうと思います。

まぁとはいえ、ニコニコしながら歩き回る今のはるぴーをみていると、ただただかわいい、それに尽きます。

これから色々な壁がはるぴーの前に訪れると思います。

乗り越えることのできない障害の壁さえもがんばって乗り越えようとするかもしれません。

でもほんとはどんなはるぴーでもかわいいのです。

耳がきこえなくても、仮に目がみえなくなっても、歩けなくなっても、はるぴーのことが大好きです。

はるぴーが何でもできるようになってきたときに、今のこの気持ちを忘れて、変なことを将来いったらごめんなさい。

ほどほどにがんばっていきましょう!

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ゆう

薬に含まれる有効成分オタクで、どのようなメカニズムで薬が効果を示すか勉強することが好きです。 2016年薬学部卒業後、調剤併設型ドラッグストアで薬剤師として勤務しています。 薬を使う必要性や注意事項など、わかりやく紹介していきます。

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