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ネキシウムカプセルが強力に胃酸分泌を抑制するメカニズム

ネキシウムカプセル

今までにネキシウムカプセルを処方されたことがある、現在服用中という方は多いのではないでしょうか?

ネキシウムカプセルは、強力な胃酸分泌抑制作用があり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療やピロリ菌の除菌の際に使われます。

実際に、ネキシウムカプセルがどのようなメカニズムで胃酸の分泌を抑制するのかがわかれば、ネキシウムカプセルがよく処方される理由にも頷けると思います。

この記事では、ネキシウムカプセルを服用したことがある方向けに、ネキシウムカプセルが体の中でどのようなはたらきをしているかを薬剤師ゆうが解説していきます。

ネキシウムカプセルの特徴

ネキシウムカプセルの主な特徴は、以下の4つです。

  • 胃酸分泌にかかわる場所(プロトンポンプ)のはたらきを抑えることで強力な胃酸抑制効果を発揮する。
  • 効果の個人差が少なく、安定した効果を発揮し、胃潰瘍十二指腸潰瘍ピロリ菌の除菌などに使われる。
  • ロキソニンやイブなどの痛み止め(NSAIDs)によって引き起こされた胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発予防にも使われる。
  • 1歳以上の幼児及び小児から使用できる。

胃酸分泌を調節しているプロトンポンプという場所があります。

このプロトンポンプは、複数のホルモンによって胃酸の分泌が調節されています。

ネキシウムカプセルは、このプロトンポンプのはたらきを抑えるため、強力な胃酸分泌抑制効果を発揮します。

また、プロトンポンプのはたらきを抑える他の医薬品と比べ、効果の個人差が少なく、安定した効果を発揮しやすいです。

そのため、多くの患者さんに対して、安定した胃酸分泌抑制が期待でき、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、ピロリ菌の除菌などに使われます。

ピロリ菌に効果のある抗菌薬は、胃酸によって分解され、その効果を失ってしまいます。ネキシウムカプセルは、胃酸の分泌を抑制することで、胃の中でも抗菌薬がピロリ菌に対する効果を発揮できるようにします。

ロキソニンやイブなど、痛みの原因物質(プロスタグランジン)のはたらきを抑えることで、痛みを鎮める薬の種類のことを、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)といいます。

NSAIDsは、優れた鎮痛効果を発揮しますが、使い続けると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こしてしまうことがあります。

ネキシウムカプセルは、このNSAIDsによる胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発予防にも使用されます。

プロトンポンプのはたらきを抑える医薬品はいくつか存在しますが、1歳以上の幼児または小児から使用できるものは、現在ネキシウムカプセルだけとなっています。

ネキシウムカプセルの有効成分

有効成分は、エソメプラゾールマグネシウム水和物です。

胃酸分泌にかかわるプロトンポンプを阻害することで、強力な胃酸分泌抑制効果を発揮します。

胃酸は、胃に存在している「壁細胞」と呼ばれる細胞から分泌されます。

壁細胞には、プロトンポンプと呼ばれる胃酸を作り出す場所が存在します。

プロトンポンプは、その働きを活性化する3つのホルモンによって調節されています。

アセチルコリンヒスタミンガストリンの3つです。


ネキシウムカプセルに含まれる有効成分エソメプラゾールマグネシウム水和物は、プロトンポンプ自体のはたらきを抑えるため、それぞれのホルモンのはたらきを抑えることと比べ、より強力に胃酸の分泌を抑制する作用があります。

ネキシウムカプセルの注意点

ネキシウムカプセルの注意点は、主に3つです。

  • 消化不良などが原因の胃の不快症状(胃もたれなど)には、逆効果となることがある。
  • 服用により、まれに下痢を引き起こすことがある。
  • 強力な胃酸分泌抑制効果のため、同時に服用した薬剤が胃でうまく溶けず吸収されないことがある。

ネキシウムカプセルは、強力に胃酸の分泌を抑えるため、普段よりも食べ物などの消化が十分に行えなくなります

そのため、消化不良が原因の胃もたれなどの胃の不快症状には、逆効果となることがあります。

また、胃酸によって本来ならやられていたはずの菌やウイルスが胃で生き残り、そのまま腸まで運ばれてしまうことがあり、これにより腸内環境が悪化して、下痢を起こしてしまうことがあります。

同時に服用した薬剤が胃でうまく溶けず吸収されないことがあるため、飲み合わせが悪い薬があります。

例えば、レイアタッツ(アタザナビル流酸塩)エジュラント(リルピビリン塩酸塩)は、ネキシウムカプセルと同時に服用することで、その効果が著しく落ちるため、同時に服用してはいけません

また、逆に一部の薬(ワルファリンジゴキシン等)では、その効きが高まりすぎて、副作用がでてしまうことがあるので、注意が必要です。

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ゆう

薬に含まれる有効成分オタクで、どのようなメカニズムで薬が効果を示すか勉強することが好きです。 2016年薬学部卒業後、調剤併設型ドラッグストアで薬剤師として勤務しています。 薬を使う必要性や注意事項など、わかりやく紹介していきます。

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